ステートメント

不在と移動

外の世界と直接関わりを持てなくなった期間、ふと自分という存在自体、本当に存在しているのかがわからなくなりました。画面越しに見るものが本当なのか、自分に関わっていることなのかの判断がつかなくなり、もしかしたら世界は私じゃない別の誰かと繋がっているのかもしれないとも思いました。いくつかの写真を私中心で並べたとき、紛れもなく写真に写る私は存在していると確認することができました。しかし私だと確認できる唯一の私の写真には、加工がしてあります。もしかしたら、この写真は別の誰かのものにつながるのかもしれません。

受賞者プロフィール

松田瑞季

1990年 茨城県生まれ
2013年 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業
2014年〜2018年 同学科研究室助手

2018年よりフリーの写真家として活動
自身の制作以外にもファッション関係の撮影を中心に行う

審査員 選評

審査員：キム・ジョンウン（写真雑誌『IANN』編集長）より

閉ざされた空間のとらえ方と、内と外という境界線を用いた写真表現に魅力を感じる。物事を認識しながら再構成する作家の視点が創造的で、表現手段としての写真を、柔軟な思考で押し広げた作品だと思う。

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