THEME #10受賞作品2020MAR
MUSIC
GRAND PRIXグランプリ
ステートメント
Musicless Media Love
水の中に入っている時、音は限りなく制限されているが、聞こえていないわけではない、しかし、水中で感じる音は、水の外の音なのか、わたしの内心の音なのか、それらが混ざり合っているような不思議な感覚を感じさせ、全身で音と接しているような感覚だ。氷の中に入ったことはないが、投げ出された物体が氷(雪)の下で、とどまっているそのイメージはわたしには非常に音楽的で、わたしの心のなかでイメージとともに音が鳴る。はたしてこれは共感できるのだろうか?
音を写真で表現することは可能かどうかはわからない。写真は実際に何かを奏でるわけではないし、ノイズすら出さない。だとしたら、写真を見ているあなたの心に音楽的な感情を起こさせることしかない。
受賞者プロフィール
ハヤシユウジ
1979年大阪生まれ
2000年大阪ビジュアルアーツ写真学科卒業
第8回写真 1_WALL 審査員奨励賞受賞(秋山伸選)
2014年〜2018年パリに滞在
現在大阪在住
審査員 選評
写真と音楽は遠いように思えて実は近いということを、今回の応募作品を眺めながら改めて思った。どの応募作品を見ても、その中に少なくとも1点は「音楽的な何か」があるのを見出すことができた。けれども、それを複数点の作品にまたがる形で展開することを、うまくやれている作品は実に少ない。ということは、そもそも「音楽的な何か」というのがいったい何であるのかは、もしかしたら撮っている本人にも把握しきれていないということに違いなく、おそらくそれは無意識的に写真を撮るという行為に作用しているということなのかもしれない。といって、セレクトしている自分が「音楽的な何か」を明確にわかっているのかと言えば、そんなことはなく、ある写真を見たことによって、自分なりに「音楽」をめぐる思考や感覚が、立ち現れてくることをもって判断するしかない。ハヤシユウジさんの作品は、作品の構造はシンプルだが、音と氷のあるようでないようでありそうな関係を面白く想起させてくれるという点で自分にとっては興味深かった。凍った音楽という謎めいたテーマが、そこからは立ち上ってくるようで、さまざまなイマジネーションを誘発してくれる。
関連リンク
OTHER WINNERS他の受賞者
COMPETITIONS
OPEN FOR ENTRIES応募受付中のテーマ
テーマはこちら