THEME #47受賞作品2025AUG
Open Call
RUNNER-UP準グランプリ
ステートメント
穴が見ている。
このシリーズは、戦争の続くウクライナで撮影されました。
戦争が訪れると、世界は引き裂かれます。大地も、壁も、天井も――あらゆるものが暴力
によって穿たれる。ミサイルはただ破壊するだけではなく、断片化します。数千もの鋭い
金属片が四散し、直接の直撃を受けていなくても家々を貫きます。ある小さな村では、
1,200軒以上の屋根が修復を余儀なくされました。穴は至るところに残り、その傷口から
雨や風が自由に入り込むのです。
しかし――穴は「見る」のです。
私は破壊によって生じたその裂け目――文字通りの虚無――を通して撮影を始めました。
それをレンズとして用い、日常が続いていく姿を見つめるために。市場で玉ねぎを売る
男、鍋と記憶の残る台所、傷だらけでもなお立つ建物。それらはスペクタクルではなく、
耐え続ける日常の断片です。
ひとつひとつの穴は傷です。けれど同時に、それは証人でもある。静かに、頑なに、生活
が続いていく様を見守る。破壊を通してなお、人間の強靭さを切り取る。
戦争はすべてを壊す。けれど、それでも――
戦争と戦えるのは、日常です。
受賞者プロフィール
夢無子
夢無子は、中国生まれ。80ヵ国を旅し、スーツケースひとつで世界を漂うヴィジュアルアーティスト。写真・映像・インスタレーションを横断し、現実と夢、記憶と身体のあいだに潜む感情をすくい上げる。東京写真美術館、Paris Photoなどで発表。写真集『DREAMLESS』を刊行。戦争や孤独、自然など現代の痛みを詩的に翻訳し、広告や映画など多領域でも活動。「無=すべて」という逆説のもと、美と苦しみ、生と死の境界を漂う。
審査員 選評
後日公開
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Instagram:@mumuko_artist
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