THEME #42受賞作品2023FEB
CREATURE
GRAND PRIXグランプリ
ステートメント
ネズミ。嫌われ者だって生きている
被写体は東京の繁華街に棲むネズミたち。ネズミは害獣と呼ばれ、駆除の対象だ。そのため汚いものの代名詞のようになっている。人間は偏見を持つと、その対象をきちんと見なくなる。害獣と呼ばれているネズミを動物だと意識しているひとは少ないだろう。
しかしネズミたちと向き合ってみると彼らが他の小動物と変わらない姿をしていることにあらためて気付かされる。害獣というのは、人間の論理だ。
人間の都合で虐げられる動物にも彼らのとってかけがえのない生命がある。ネズミたちが都会の中で精一杯生きている姿を見ると、わたしにはネズミたちが虐げられる者たちの象徴のように見えてくるのだ。
受賞者プロフィール
原啓義
<プロフイール>
1970年生まれ
<写真展歴>
ニコンサロン
2017 年 銀座・大阪 『ちかくてとおいけもの』
2019 年 銀座・大阪『そこに生きる』
2021 年 新宿『まちのねにすむ』
ほか多数
<授賞歴>
2021年度 第46回伊奈信男賞
2023年 第8回写真出版賞 大賞
審査員 選評
東京のような大都市で他の生き物の生活を記録し、描写することは必ずしも容易なことではない。この場合、描かれているのは大都市に遍在する動物であり、同じように人目に触れさせたくない動物である。画像は、写真家の被写体に対するコミットメントの証である。出来上がった画像は、滑稽で目を引き、まるで自分が撮影したかのような虚構性を感じさせる。
まるで、私たちとは違う物語を語るかのようなフィクションの感覚を呼び起こす。私たちの根底にあるこうしたパラレルワールドのほとんどは、簡単に見ることも記録することもできず、簡単に見過ごされてしまう。私たちは皆、この生態系の一部なのだから、生きている他者の人生と、その中で私たちが果たしている役割を意識することは特権であり、必要なことなのだ。写真の中で交わされるアイコンタクトは、まさにそうするよう私たちを誘う。
関連リンク
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