ステートメント

土に還る

いずれ無くなるものを残そうと思った。
私は東京に住んでいる。
両親は祖父母が亡くなった後に、滋賀県の田舎にある祖父母の家を受け継いでそこで暮らしている。私はその家で生まれ育った訳ではない。
東京という街で暮らしていて、帰る度に田舎で、どんどん過疎になっていく街を見て、何もなく、不便でとても嫌だった。
私は両親みたいに家を受け継いで将来ここに住むことはないだろう。
いずれなくなる家、そして両親。
いずれ見なくなるだろう光景。
そう思うと何もない、何気ない光景がかけがえなく美しく見えてしまった。

受賞者プロフィール

柏田テツヲ

旅をしながら自身が出会い、感じ、疑問に思ったことを独自の視点で写真を通して定義している。

1988年 大阪府出身
2019年 第42回写真新世紀 佳作 サンドラ・フィリップス氏選
2020年 第43回写真新世紀 佳作 瀧本幹也氏選、第22回写真「1wall」入選

審査員 選評

審査員：アレック・ソスより

感傷はアートにおいて危険な要素である。亡くなった祖父母とたくさんの花というイメージ要素は、簡単に失敗作の素材となりうるが、がこれらをうまく扱ってとらえた柏田の控えめなエレガントさは、私の心を動かした。

関連リンク

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