THEME #41受賞作品2023JAN

OPEN CALL

GRAND PRIXグランプリ

DETAIL

ステートメント

Tell Me What I’m Remembering

自分の理解を超える目の前の現実を、私たちはどう解釈するのだろうか？子供時代から大人になるまでの間、自分の記憶ではないかと疑ってしまうような、ランダムなフラッシュバックのイメージが頭の中に浮かび上がる。その光景は漠然としているが、深く刻み込まれているため、夢のような現実の狭間で生きているかのように思える。最近、いとこが偶然、私が幼い頃に白血病を患っていたことを明かしてくれた。写真は、その頃の常に移り変わる記憶の中から残ったものだ。作品では、記憶のもろさ、不安定さ、流動性を探求しているのだ。

受賞者プロフィール

Claire Sunho Lee

ソウル生まれのインターディシプリナリー・アーティストであり研究者。許容される規範に疑問を投げかけることで、ひとつの「現実」の中に様々な意味を見出すことに取り組んでいる。彼女は「普通」を、一方的に定義されるのではなく、その人が持っている視点に基づいて知っていることとして捉えている。リーは、日常生活における「支配と降伏」という概念を通してこの考えを実験し、身近なものを見るための新たな視点を提案している。

審査員選評

注射器や薬、バースデーケーキ……自分のものか、他人のものかわからない記憶のカケラを拾い集めたセットアップ写真は、記憶そのものの本質、そして記憶が現実に与える影響に迫る。目に見えないものを主題にしたチャレンジングなプロジェクトでありながらも、自身の内側を深く掘り下げ、独自のヴィジュアルランゲージを通して記憶を可視化し、鑑賞者の共感を得ることに成功している。我々の時折フラッシュバックする記憶は、本当に自分の過去なのか？その認識は正しいのか？その記憶は現在に影響を与えているのか？さまざまな問いを投げかける。