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THEME #27受賞作品2021SEP

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俎上の壁

荻須高徳という画家は大正、昭和期に活動した画家である。戦後初めて日本からフランスへの渡航を許された画家であり、パリでその街並みを描いたことで知られている。
本作の作者は荻須の遠縁にあたり、同様に絵を描く修行を行い、同じ大学の同じ専攻に進学するなど、その影響を受けている。壁というモチーフは荻須が好んで描いたものであるとともに、時代や土地を超えて共有できる対象である。
自身の同一性を他者の歴史に寄り掛からせながら、絵画的コンポジションを持ちえた壁を、今手に持っている機械の目を通して映し取る。

受賞者プロフィール

久保田 智広

2020年に東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻を修了後、現在は東京都、神奈川県を中心に活動を行う。インスタレーションやパフォーマンスなど複数のメディアを横断しながら、物事の価値基準や選別基準にまつわる制作を行う。
代表作に、東京大学の食堂に飾られていた宇佐美圭司の絵画が生協により無断で破棄された事件を題材にした《Decision in the Hospice》(2020)がある。

審査員 選評

審査員:IMA編集部より

絵画を目指した写真は数多く存在するが、作者は自身のルーツからこの表現へと向かっているのが興味深い。グラフィカルな塗装を施された壁は、それ自体が抽象画のようでもありながら、フレームである部分を切り取ることで、そこにはもう一つの世界が生まれている。絵画と写真の関係をユニークな視点でとらえているからこそ、これらの壁の塗装は一見するとあらかじめ用意されたかのような錯覚すら覚える。荻須高徳という画家とのつながりを今後どのように発展していくかに期待したい。

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