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THEME #46受賞作品2023AUG

PLANT LIFE

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ステートメント

FUKUSHIMA BLUE

福島県浜通りの人にとって海は特別な場所だ。家族や友人との思い出の場所であり、津波が来た場所であり、そして原発を考えねばならない場所だ。
始まった原発の処理水の排水。「科学的には安全」という言葉は、もう何度も聞いてきた言い訳の常套句。
ニュースでは、原発の問題は福島の問題のように扱われている。Nuclear Plantの問題は世界で考えるべき問題ではないのだろうか。
今回私はサイアノタイプの印画紙を作成し、直接海の波のシルエットをつけ、福島の太陽の光で焼き付けた。単なる情報としてではなく、体感できる生身のものとして福島と接してみた。福島の自然が描き出した風景は私達になにを伝えてくれるのだろうか。

受賞者プロフィール

竹下和輝

1988年広島出身。高校を卒業後、ストリートアーティストと旅をしながら写真の撮り方を学ぶ。NPO職員を経て、現在はアーティスト・イン・レジデンスを活用しながら主に福島県浜通り、宮城県の過疎化した町などを題材に作品を制作している。サイアノタイププリントやLumen printの手法を学びながら、カメラを使わずに被写体を直接焼き付ける方法でも作品制作をしている。

審査員 選評

テキストを読まなくても興味深く、一定の偶然を用いた作品なのかなと考えていました。紙面に水滴が飛び散っていたので液体が関係しているのは確かだけど、自分が何を見ているのか見当がつきませんでした。惹かれたものの、「Plant Life」との関連性は見いだせず、植物がないことから、応募者は概要をきちんと読んでいないのではないのかもしれないと思ったのです。

その後、イメージが福島県の浜通りで撮影されたことがわかりました。2011年の津波と原発事故の被害を直接被った場所のひとつです。ここで、作者が実際に応募概要を読んで完璧に理解し、「Plant Life」というテーマのもと、原発に関連して作られた一連のイメージを応募することを選んだのだと気づきました。

竹下和輝が被写体を伝える直接的な方法として波を用いたことがとても気に入っています。言葉を、この場合はカメラさえを、介さず、頭で考えたものをそのまま作品として仕上げるというこのやり方は、私も楽しいと感じる制作方法で、しばしば自分自身でも強制的に行うようにしています。感光紙に直接イメージを描き出すという、誰もがコントロールしようとする時代に、イメージの誕生を手助けながら、イメージが自主的にやってくるのを待つのはある種の勇気が必要です。コントロールの欠如に可能性を見出すことは、解放的です。そして純粋に頭脳的でない作品を作るための方法だと思いますが、それには一定の勇気、偶然への信頼、そして自分の被写体とメソッドへの信頼が必要とされます。

ここには、作者や被写体が意図した以上に、一般の説明的なストレートフォトでは伝えられないような情報や痕跡が残されています。まるで竹下和輝が被写体が自ら語ることができることを理解し、それをサポートしているようでした。

私も一歩引いて被写体に耳を傾け、被写体が自ら語り、主役になるのを助ける手法に長年取り組んできたので、心に響いたのだと思います。このような制作方法は、時によって想像を超えた作品を生み出すことができると思いますし、そのためには恐れ知らずでいなければなりません。

この作品と、このように偶然を受け入れることができるあなたの自信を見ることができて嬉しかったです。結果としてのイメージは素晴らしく、たとえ抽象的であっても、時と場所に関連した重要な記録となっています。

独自の「Plant Life」の解釈を応募してくれてありがとうございます。

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THEME #46 PLANT LIFE

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