THEME #46受賞作品2023AUG
PLANT LIFE
SHORT LISTショートリスト
ステートメント
On my way home
歩く時は道の両側には植物が生えていて欲しい。
夏の終わり頃、バスを降りて、住んでいる集合住宅に帰る道は
両側の雑草が背丈近くまでになる。
特に夕方は自宅への距離が遠くに感じて、
なんだか毎日旅行から帰ってきたような気持ちがする。
雑草に挟まれた鋪道は
散歩者やサイクリストに踏んづけられた
虫やカエルなんかが紋様のようになっている。
草は徐々に舗道を両側から圧迫してしまうので
もうすぐ市から依頼を受けた業者がきれいに刈り込むんだろう。
歩行者には快適になるはずだけど
私は「もう少しこのままならいいのに。」と毎年思う。
受賞者プロフィール
草木 勝
京都市内のコマーシャルスタジオ勤務を経て独立。
海外ブランド紳士服等のコマーシャル写真撮影や商業写真一般、
フォトライブラリーの写真撮影を経て現在に至る。
2019年から写真展活動開始。
2019年「水の形」
2021年「Flowers」
2022年「変わらない街/京都」
2022年「街と時間と写真について」
2023年「Drowing in colors」
審査員 選評
この作品はシンプルでいてよく観察されていて、この小さな観察が、写真が生まれるきっかけとなったということに好感を抱いています。
多分私にとっても見ていて楽しいものなんでしょう。このような作品は好き嫌いを問えないんです。それは、アーティストが説明や言い訳する必要なく、考えや観察を制作というアクションに変換したことがまさに直感的な行為だからだと私は思います。
イメージは、この人物がよく通る道が植物に侵食されるにつれて幅が狭くなり、両側から迫ってくることに気づいた結果として捉えられています。スナップショットのようで、きらめきと生気に満ちた甘美な緑の植物が道全体を飲み込もうとして高く、広く伸びているのが感じられながらも、壮大さが感じられないこともとても好きです。この道の荒々しい境界線もまた、動きと広がりを暗示しています。
私はこの作品がとても好きです。朝や午後の低い光、植物はイメージに写っているだけでなく、明らかにアーティストの心の中にもいるようです。一つの写真では、作者とは別に、植物もマンションを振り返っているように見えます。匂いや空気まで体感できそうです。
そのあたりを歩いたり、サイクリングしたりすることで喜びが湧いてくるだろうと想像できます。
この作品を作り出したことを賞賛します。おそらくあなたは、この作品が私も含め、他の人たちにもたらす喜びを知らないのかもしれません。このシリーズを応募してくださりありがとうございました。私にとってこれは「良い写真」という評価を超え、作品を見る度に喜びの瞬間をもたらしてくれます。
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