THEME #02
STILL
LIFE
受賞作品
2019JUL
GRAND PRIXグランプリ
ステートメント
lines
写真のデジタル処理により視覚における触覚、運動感覚の側面から、実体としては存在しないデジタルの物質性を表現
受賞者プロフィール
武居 功一郎
1974年 生まれ
2018年 個展「Old School Painting」(第一生命ギャラリー/東京)、グループ展「山形ビエンナーレ 2018」(東北芸術工科大学キャンパス/山形)
2012年 VOCA展2012、VOCA奨励賞受賞 (上野の森美術館/東京)
審査員 選評
私は武居功一郎の本を被写体とした静物写真を何度も見ました。これらの写真には、何か視覚的に非常に惹かれるもの、非常に満足感を感じさせるものがあったのです。これらの画像に体現されているモザイク加工された写真の美学は、究極的に言うと私たち全員にとって慣れ親しんだものではありますが、それでいてなお、興味深い一連の可能性や解釈を切り開いているようにも思われるのです。武居の作品の多義的な性格とそのコンセプト上・視覚上の枠組みは、写真の画面及び最終的には被写体の本から何かを読み出すよう、見るものをいびるかのように誘います。つまり実行不可能な課題を提示してくるのです。
今日の技術が進歩した世界において静物写真にどのような可能性があるのかを再想像するにあたり、武居の被写体となった本は、私たちが持つアナログ的空想とデジタル的現実の衝突を完璧に捉えているように思われます。
SHORT LISTショートリスト
THEME SUMMARYテーマ概要

長く絵画の重要なモチーフでもあったスティルライフ(静物)。デジタルテクノロジーの発展は、スティルライフの表現の幅を一層広げてくれています。そこにあるものをカメラでとらえるだけでなく、被写体そのものを創作したり、コラージュやモンタージュを施すなど多様な表現が生まれています。どのように物と対話するかはあなた次第です。
[応募受付期間] 7月1日~8月31日
JUDGE審査員

ブルーノ・ケシェル Bruno Ceschel
(ライター、キュレーター)
Self Publish Be Happy主宰、ロンドン芸術大学講師。若手写真家の活動を支援する団体Self Publish Be Happyの主宰者として、The Photographers’ Gallery、ICA、C/O Berlin、Aperture Foundationで数々のイベントを開催する。また、当団体の出版レーベル「SPBH Editions」からは、アダム・ブルームバーグ&オリバー・チャナリンやルーカス・ブレイック、ロレンツォ・ヴィットゥーリらの写真集を刊行。『Foam』、『British Jounal of Photography』、『Aperture』などさまざまな写真雑誌に寄稿し、2015年に著書『Self Publish, Be Happy』をAperture Foundationから出版。